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至便とは?

[ 75] 幹線道路綱整備の水準に関する一考察(交通至便率について)
[引用サイト]  http://www.h3.dion.ne.jp/~hosom1/bunko.files/10.htm

幹線道路の整備効果は投資額と便益から評価されることが多いが、ここでは地域間の距離と走行性に焦点をあて、理想の所要時間と実際の所要時間の格差を“交通至便率”という指標で表し、ネットワークや計画路線の評価を試みた。その結果、一つの路線整備がその地域の交通至便率に広く影響し、確実にこれを高めることとなる。
したがって、交通至便率は地域別の幹線道路網の整備水準の把握をはじめ、異なる複数の路線の比較、整備すべき路線の性格やその方向、インターチェンジの最適配置計画等、種々の検討を現状と比較する形で可能にする簡便な指標であるといえる。
高速自動車道をはじめとする幹線道路の整備は、人の移動や物の輸送を迅速かつ確実に行えるようなサービスを提供するとともに、大都市と地方都市間、地方の各都市相互間等の交流を促進かつ拡大することから、日常生活の充実、産業の振興が図られ、地域の発展に大きく貢献するものと期待されている。一方、積雪地域においては“59豪雪”で見られた幹線道路の交通確保の実績は、各方面で大きな評価を得、あらためて幹線道路の重要性が認識されている。
さらに、三全総による地方定住構想、地域の均衡ある発展などの政策を背景とし、今後、企業誘致、商圏の拡大などの施策を推進する上においても、幹線道路はより以上に迅速かつ確実性が要求されるものと考えられる。
幹線道路の整備効果は、費用便益など経済性の観点から評価されることが多いが、その地域のネットワークそのものや他地域との比較を、利便性、走行性の視点から行う評価は、従来適当な手段がないためほとんど実施されていないように思われる。
そこで本稿は幹線道路網において地域が享受する利便性を簡便な指標によって表してその整備水準を評価し、道路整備が地域にどの程度の影響(効果)をもたらすかについて考察したものである。
道路整備は従来、交通需要の増大、地域計画、都市計画等によって計画され整備が推進されている。生活のしやすさ、産業の振興などを図る上で地域が道路に対して望むことは、目的地までより速く、安全、確実に到達できることであり、長距離の目的地へはより一層この要望が強いと考えられる。
ここでは、地域が要望する目的地までの理想の所要時間と、評価の対象とする道路網における実際の所要時間との格差を表す指標を定義し、これを“交通至便率”と呼ぶこととする。
交通至便率は、ある地域から他の地域への実際の所要時間と、望ましい理想の所要時間との比率を他の地域との結びつきの強さで重みづけをした指標と考え、次式によって定義する。
理想とする走行速度は、その地域と目的地域との間の距離によって異なる。すなわち、短距離トリップにとっては、走行速度が多少低くても時間の損失が少ないため高速性はそれほど要求されないが、長距離トリップになるに従って時間の損失が大きくなり、高速性の要望が大きい。そこで理想走行速度は、地域間の直線距離を説明変数とする関数として設定する。
この関数の設定にあたっては、現在のところ定まった基準がないため、各分析の意図するところを十分に踏まえてサービス水準を考慮することが望ましい。また、道路利用者に対するアンケート調査からその水準を設定するのも有効である。
図-1は、理想走行速度の概念を表したものであるが、サービス水準 I は比較的短い距離にも高い速度サービスを行うケースであり、サービス水準IIIは距離に比例してサービスを高めるケースである。サービス水準 II は両者の中間的な考え方である。
地域間の結びつきは、一般に重力モデルなどで知られている地域の規模(人口あるいは経済力など)と、地域間の距離(又は時間。ただし、ここでは単純に直線距離をとった)からその強さが求められる。すなわち
これより、i地域からみたj地域との結びつきの強さの比重を、j地域の規模に正比例し、距離のα乗に反比例する指標として設定する。ここで、乗数のαについては自然条件などの他の要因に阻害されないモデル地域において、分布交通量などをもとに回帰を行って算定することが望ましい。
ここで紹介する交通至便率による検討例は、北陸地方建設局管内の13地方生活圏の中心都市並びにモデル都市として金沢市を抽出し、現況及び将来の国道以上の道路網について行ったものである。
1) 理想走行速度は、サービス水準IIIを想定し最低速度50km/h、最高速度90km/hを目安として次のように設定した。(図-2)。
4) 将来の道路網は、高速自動車道の7,600km及び計画された国道のバイパス等はすべて完成しているものとした。
前提条件に基づき、現況(昭和52年)及び将来の道路網(図-3)における交通至便率を算定した結果は図-4に示した。
1) 昭和52年で高速自動車道が整備されている金沢市や砺波市は、相対的に高い交通至便率を示している。将来についても高速自動車道のICに比較的近い都市は、交通至便率がおおむね80%程度まで向上するが、ICへのアクセスが長い都市では低い。
2) 高速自動車道ICへのアクセスが長い村上市、輪島市、七尾市は交通至便率が将来でも55〜60%程度と低く、他の都市と相当な格差が見られる。また、比較的人口や産業の集積があるにもかかわらず、高速自動車道のICから遠い高岡市(人口約17.5万人、工業出荷額約5,800億円)も67%と低い。
3) すでに高速自動車道が整備されている地域(新潟市、金沢市と類似した静岡市)と北陸地方の比較では、新潟市、金沢市の方が20〜30%程度低い。
また、金沢市から各地方生活圏の中心都市への所要時間を見ると(図-5)、高速自動車道の影響が顕著に表れ(52年度では高速自動車道は富山IC〜金沢東IC間で供用され、新潟県内は未供用であった)、黒部市以遠の各都市との間で現在は非常に悪いが、将来はかなり改善されると予想される。しかし、高速自動車道ICへのアクセスが長い各都市への所要時間の改善はそれほど大きいものではない。
参考までに、静岡市を対象として金沢市と同様の検討を試みた結果、高速自動車道の有無や混雑の影響(京都市及び大阪市付近)がはっきり表れている。(図-6)。
これらの結果をもとに、各都市内での時間損失や直線距離と実距離の差等を考慮し、仮に、交通至便率がどの都市も80%以上の水準とすることを目標として計画すると、図-4で交通至便率の低い各都市のサービスを向上させるために、新潟市から村上市方面及び砺波市から高岡市、七尾市方面に比較的規格の高い自動車専用道クラスの道路を計画する必要があると考えられる。
このように交通至便率は、どこにどのような性格の路線を整備すべきか等種々の検討を可能にする簡便な指標であるといえる。
実際の道路網において検討を行った結果、“交通至便率”は理想とする走行性に対し、実際の走行性との格差を地域別に表すとともに、一つの路線整備がその地域の交通至便率を確実に高めることから次のようにまとめられ、道路網の評価方法として有効な指標であると考えられる。
1) 道路網の整備状況をその地域を中心とした走行性から比較することによって、現況や将来の道路網整備の格差を把握できる。この格差から道路網整備の必要な地域を容易に抽出することができる。
2) 一本の路線整備がどの程度その地域の走行性を改善できるかを定量的に把握することができるので、目標とする道路網水準にするために必要な整備量を把握できる。
3) 一本の路線を計画しようとするとき、通常複数の比較路線が考えられるが、それぞれの比較路線がその地域や周辺地域の交通至便率に与える影響を相対的に比較することによって、最適路線の選定が容易となる。
4) 整備しようとする路線が、どの地域との走行性をどの程度改善する必要があるかによって、その性格を見きわめることができる。
例えば、図-7において、高速自動車道完成時でも比較的理想の所要時間との差が大きいF、J方面への交通至便率を改善するため比較的高規格な道路で図-8のような比較路線を考え、A、B、C、Dの4地域を対象として各地域の交通至便率を計算したとき、ケース3が最も有利な結果が得られる。(図-9)
5) 従来よく実施されている経済面からの評価に加えて、所要時間や利便性の格差から評価することとなり、多面的な評価が可能である。
本稿は、道路整備の効果としての利便性を評価する交通至便率について定義し、マクロ的ではあるが地域別の道路網の整備水準、整備効果に関しての評価方法を考察した。しかし、まだ不備な点も多く今後は
等を考慮した検討を積み重ね、簡便でより信頼性の高い幹線道路網の評価手法として確立していく必要がある。
また、今後の道路整備としては、未改良・未舗装・不通区間の解消、歩行者や自転車の安全対策、雪対策等を推進するほか、地域ごとの交通至便率の格差を解消することと、財源制約下における効果的な事業の推進とのバランスをとりながら実施していくことが必要である。

 

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